地方へ移住して自宅に工房を持つことのススメ【前編】
※写真は「二見ヶ浦」(写真提供:福岡市)
最初に、タイトルには「ススメ」とは書きましたが、
あくまでも私の経験によるお話で、全ての人にお薦めできることではないかもしれません。
ただ、地方移住についてもっと詳しく知りたい方やご興味のある方には、
何かのきっかけにしていただけたら嬉しいですし、
本気で移住をお考えの方の参考になればという想いで書かせていただきます。
それと、ここでお話する「工房」とは趣味の領域に収まるものではなく、
工房で制作した成果物を事業として展開するための設備を前提にお話します。
【前編】の今回、まず初めに日々の暮らしに関わることからお話したいと思いますが、
「地方移住」の醍醐味というか楽しみの一つとして、自然との距離感の近さを堪能できることが挙げられます。
私は東京の都内から福岡市への移住ということで、
住んでいる場所としては正直なところあまり地方感を感じることはありません。
むしろ、都内よりもコンパクトなエリアに色々な街の機能や商業施設が詰まっていて、
移住前と比べて生活の利便性はとても良くなったと感じています。
福岡市の特徴でもあるのですが、自宅から街(天神や博多)への距離が近く、
海も山も日帰りで楽しめて、遠くへ旅行に行きたい時は空港が近くてとても便利なので、
そんな暮らしを理想としている方にはとてもおすすめです。
東京からの移住で経済的にマイナスなギャップを感じる部分としては、
・都内よりも水道光熱費が高い
・医療費の補助が中学生まで
・生鮮食品を除いたグロサリー類の値段が高め
・賃金が安い(都内よりも時給で300円くらい?)
という印象で、物価については物流費の影響が大きいのかもしれませんが、
思っていたよりも地方に移住して生活費そのものが安くなった感じはありません。
一方で、プラス(ポジティブ)に感じるものというのはどうでしょうか。
・生鮮食品などは安くて新鮮で美味しいものが多い
・月極駐車場は都内の3分の1から半分くらい
・戸建てやマンションが都内と同等の物件でも半額くらいで探せる
・賃貸物件の家賃も3分の2から半額で探せる
ということを加味して家計を比べてみると、
現地の給与水準でもそれまでと同等の生活レベルを維持することは可能で、
冒頭にお話した「地方移住の醍醐味や楽しみ」がセットで付いてくることになります。
あくまでも、私が福岡市へ移住したケースでのお話なので、
全ての地方移住がそうなるという訳ではありませんが、
自治体によっては補助金などを支給してくれるところもあるので、
そういった自治体から移住を検討してみるのも良いかもしれません。
※写真は「愛宕山から見た百道の夜景」(写真提供:福岡市)
さて、前段では地方移住における収入と支出のイメージについてお話しましたが、
実際に「自宅に工房を構える」にはどうすれば良いでしょうか。
工房と言っても、店頭販売がメインだったり、商材によっては通信販売ができる事業形態もあると思います。
ここでは私がこれから挑戦しようとしている通信販売型の実店舗をベースに、
どんな考え方に基づいて進めているかをご説明します。
まず肝心なのは所得の部分が持続可能なものかどうか、ということ。
私の場合は、東京在住の頃からのお取り引き先に恵まれていて、
リモートワークがメインなのでお仕事をそのまま継続することができています。
移住を一歩踏み出せたのも、従前どおりのお仕事があったからこそで、
移住を検討されている方で一番のネックになるのがそのあたりではないでしょうか。
逆にそれがクリアできると移住はいよいよ現実的なものとなってきて、
W(ダブル)ワークという形になりますが従来の収入を維持する形で
新たなビジネス(出店)へ挑むことができます。
Wワークではなく移住先での出店による収益がメインになる場合は、
出店するまでにかかる生活費や出店費用を事前に貯めておく必要があります。
テナントとして出店するようなケースだと、居抜き物件など出店費用は抑える方法があるものの、
敷金などが10カ月分以上も必要なケースがあったり、契約にも縛られたりします。
一方で自宅に出店する場合、自宅の改装(改築)費もしくは新規の建築費は必要ですが、
それは永久に発生する賃料と比べて、尚且つ長い目で見れば安価で済むことになります。
更に、通販がメインであれば自宅のロケーションは売上にあまり関係なく、
店頭への集客が難しいローカルな場所でも出店することが可能です。
私の工房では週末こそ店頭販売を考えていますが、必ずしも対面販売の設備は必要ありません。
物理的に目立つ場所へ出店しなくても、Web上で存在感を出せれば良いという考えです。
ここまで、自宅に工房を持つことの心構えのようなことをお話しましたが、
【後編】では実際に自宅で工房を構えようとした際に待ち構える法律や条例、
契約上の制約などについてお話を展開したいと思います。