地方へ移住して自宅に工房を持つことのススメ【後編】
「スモールスタート」。
工房の建屋を建築するにあたり、最初に意識したのがその言葉でした。
覚悟を持って決めた工房の開業ですが、運転資金のこともあるので
なるべく費用を抑えながら建屋の建築を考えたときに、まず検討したのがプレハブの小屋です。
最近のプレハブは強度も高く、普通の建築物と変わらないレベルも実現可能で、
実際に私もプレハブメーカーさんのショールームへ出向いて内覧しました。
プレハブの広さ(サイズ)はある程度の規格で決まってしまうため、
敷地にフィットするかどうか、台風などで飛ばされたりしないかなどが懸念材料でしたが、
メーカーさんの説明では図面的には問題が無さそうとのことでひと安心。
最近は実際にプレハブの工房で営業されているショップも多いようで、
コロナ禍でのプレハブ需要は伸びているとか。
プレハブ小屋を使った建築費は通常の木造建築と比べて3分の1くらいで、
耐久性や防音・断熱性は劣るもののローコストで立ち上げることができます。
ただ、私の場合は残念なことに後日メーカーさんから連絡が入り、
広い敷地に「ボンッ」と置けるような環境であれば問題ないのですが、
プレハブを大型のクレーンで積み降ろしするため、道幅や電線などの関係で設置できないとのお話でした。。。
ここで注意していただきたいことがありまして、
「ボンッ」と置くだけであれば問題ありませんが、プレハブが倒れないように基礎を固定したり、
店舗や工房となると水道工事や場合によってはガス工事が必要となります。
そうなるとプレハブでも「建築物」という扱いになって、ここで法的なハードルとして「建築確認申請」が必要になってきます。
私の判断としては、目先のコストはかかりますが一般的な木造の建屋を増築する形で進めることにしました。
さて「建築確認」をクリアするには色々な建築条件が伴ったり、
建ぺい率や容積率など建築基準法に則った建築物であることが前提となります。
自宅の敷地に建築する場合、基本的には土地の用途や建ぺい率、容積率などに準拠することになって、
新たな建築物を含めてもその基準の範囲内である必要があります。
単純な話ですが、建ぺい率60%の敷地に自宅が55%で建てられている場合、
工房は残りの5%以内で建築しなくてはなりません。
それから「都市計画法」というハードルも存在します。
例えば「第一種低層住宅地域」では、原則として店舗を建てることはできませんが、
店舗の床面積が50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満のものは建築できます。
更には「騒音規制法」というのも存在して、用途地域ごとに騒音の規制基準があって、
大型のミキサーやオーブンなどは設置できないケースもあったりするようです。
正直なところ、私は「都市計画法」や「騒音規制法」まで確認した上で移住を決断した訳ではなく、
後から調べたら幸運なことに法令をクリアすることができていたという結果オーライなパターンでした。
何となく移住先がローカルで広いと何でも大丈夫そうなイメージを持ちやすいですが、
法令や条例は交渉で何とかなるものではないので、十分な事前調査を行っておいた方が良いと思います。
もう一つ大事なこととして、移住先の新居を住宅ローンで契約されている場合、
基本的には「居住用」として契約しているケースが主なので、
敷地で商売を行うとなるとそれは契約違反となることがあるようです。
もともと事業主だったり事業を行うことを前提にローンを組まれる方は、
借入先に事前に居住以外の用途とそのスペースを伝えておいた方が無難だと思います。
ここまでのお話で、「あぁ~ 何だか越えなければならないハードルが多いな・・・」と感じられるかもしれません。
でも、しっかりと事前調査を行って、条件をクリアできる物件に出会えたときは、
「小さなベーグル工房だからできること」の記事でも書きましたが、
とても大きなアドバンテージを得ることができると思いますので、
ぜひゆっくりと条件の良い物件を探してみてください。